妊娠中の運動はした方がいい?理学療法士が伝えたい3つのこと
「妊娠したら、なるべく安静にしていたほうがいい?」
「赤ちゃんのために運動は控えたほうがいい?」
「運動したほうがいいと聞くけれど、何をすればいいの?」
妊娠すると、お腹の赤ちゃんのことを考え、「身体を動かして大丈夫かな?」と不安になる方も多いと思います。
実は、妊娠経過に問題がなく、運動の禁忌がない妊婦さんには適度な運動が推奨されています。
WHO(世界保健機関)では、妊娠中・産後の女性に対して、週150分以上の中強度の有酸素性身体活動を推奨しています。
「週150分って、けっこうな運動量!」と思いませんか?
もちろん、無理をして運動する必要はありません。妊娠前の運動習慣や妊娠経過、その日の体調に合わせて身体を動かすことが大切です。
そして、妊娠中の運動は「体重管理」だけが目的ではありません。
理学療法士・ヨガインストラクターとして、私が特に大切だと考えているのは、
- 体力を保つこと
- 変化する身体を動かせること
- 心を整えること
この3つです。
① 妊娠中こそ「体力」を保つ
妊娠が進むと、お腹が大きくなり、身体も少しずつ重くなっていきます。
つわりや腰痛、身体の重さなどから、
「以前より歩かなくなった」
「座っている時間が増えた」
という方も少なくありません。
そこで大切なのが、無理のない範囲で身体を動かし、体力を保つことです。
ウォーキングなどの有酸素運動は、全身の体力や心肺機能を維持する方法のひとつです。
ACOG(米国産科婦人科学会)では、妊娠中の定期的な身体活動について、健康的な体重増加をサポートするほか、妊娠糖尿病や妊娠高血圧関連疾患、帝王切開分娩などのリスク低下との関連を挙げています。
そして、体力が必要なのは出産までではありません。
産後には、抱っこや授乳、夜間のお世話など、赤ちゃんとの生活がすぐに始まります。
だからこそ妊娠中から、出産だけでなく産後にもつながる体力をできるだけ保っておくことが大切だと考えています。
② 出産に向けて「動かせる身体」をつくる
妊娠が進むにつれて、身体の重心や姿勢、普段の身体の使い方も変化します。
そのため、単純に筋力をつけるだけでなく、
- 股関節を動かす
- 背骨や胸まわりを動かす
- 骨盤まわりを無理なく動かす
- 呼吸に合わせて身体を動かす
- 力を入れるだけでなく、抜く感覚を知る
といったことも大切です。
もちろん、「この運動をすれば安産になる」というものではありません。
それでも妊娠中から身体を動かし、
「この姿勢だと楽」
「ここに力が入りやすい」
「この呼吸だと力が抜ける」
と、自分の身体を知っておくことは、妊娠中だけでなく出産や産後の身体づくりにもつながっていきます。
③ 妊娠中の運動は「心」にも大切
妊娠中は、身体だけでなく心も大きく変化する時期です。
「赤ちゃんは順調かな」
「無事に出産できるかな」
「産後ちゃんと育てられるかな」
楽しみな気持ちと同時に、不安を感じることもあると思います。
身体活動は身体的な健康だけでなく、妊娠中・産後のメンタルヘルスにも関係しています。
WHOでも、妊娠中・産後の身体活動によるメリットとして、産後うつ症状のリスク低下などが挙げられています。
妊娠すると、「赤ちゃんのために」と考える時間が増えていきます。
だからこそ身体を動かす時間を、自分の身体や呼吸に目を向ける時間にもしてほしいと思っています。
妊娠中の運動に「マタニティヨガ」という選択肢
妊娠中には、ウォーキングなどの有酸素運動だけでなく、身体をさまざまな方向に動かしたり、呼吸に意識を向けたりすることも大切です。
その方法のひとつがマタニティヨガです。
妊娠中の身体に合わせて内容を調整したヨガでは、
- 身体を動かす
- 筋肉を使う
- 柔軟性を保つ
- 呼吸を意識する
- リラックスする
といった要素を組み合わせることができます。
マタニティヨガの目的は、難しいポーズを上手にとることではありません。
変化していく自分の身体を知り、自分の身体に目を向ける時間をつくること。
私はそこを大切にしています。
妊娠中だからこそ、自分の身体も大切に
妊娠すると、どうしても「赤ちゃんは大丈夫かな?」と赤ちゃんを中心に考える時間が増えていきます。
でも、その赤ちゃんをお腹の中で育て、出産し、その後も抱っこして育てていくのはママの身体です。
赤ちゃんのためにも、ママ自身の身体を大切にしてほしい。
mozutto安積店では、理学療法士・ヨガインストラクターが、妊娠中の身体の変化やその日の状態を確認しながらマタニティヨガを行っています。
「運動したほうがいいのは分かるけれど、何をしたらいいか分からない」
「腰痛や身体の重さがあり、動くのが少し不安」
「出産に向けて身体を整えておきたい」
そんな方も、まずは今の自分の身体を知るところから始めてみませんか?
妊娠中だからこそ、赤ちゃんだけでなく、あなた自身の身体に目を向ける時間も大切にしてほしいと思っています。
妊娠中に運動を行う際の注意点
妊娠中の運動は、妊娠経過や既往歴などによって制限が必要な場合があります。運動を始める際は主治医に確認し、無理のない範囲で行いましょう。
出血、めまい・失神、胸痛、運動前からの息苦しさ、規則的で痛みを伴う子宮収縮、破水を疑う症状などがある場合は運動を中止し、産科医療機関へご相談ください。
参考資料
- World Health Organization(WHO)『WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour』
- American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)『Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period』