妊娠中の運動は心にも大切|産後に心の不調を経験した理学療法士が伝えたいこと
「妊娠中は、なるべく安静にしていた方がいいのかな」
「赤ちゃんのために、あまり動かない方が安心?」
妊娠すると、自分の身体だけでなく赤ちゃんのことも考えるようになり、身体を動かすことに慎重になる方も多いと思います。
私自身もそうでした。
実は私は、第一子出産後に、気分の落ち込みや不安など、産後うつを思わせるような心の不調を経験しました。
今、理学療法士・ヨガインストラクターとして妊婦さんと関わる中で、当時を振り返って感じることがあります。
それは、
「妊娠中に身体を動かすことは、身体づくりだけでなく、心の健康にもつながる」
ということです。
妊娠中の運動は「身体のため」だけではありません
妊娠中の運動というと、
「体重が増えすぎないため」
「出産に向けて体力をつけるため」
というイメージが強いかもしれません。
もちろん、それも大切です。
一方で、妊娠中の身体活動にはメンタルヘルスへの良い影響も報告されています。
WHOでは、運動の禁忌がない妊娠中・産後の女性に対して、週150分以上の中強度の有酸素性身体活動を推奨しています。
そのメリットとして、
- 妊娠糖尿病のリスク低下
- 妊娠高血圧症候群のリスク低下
- 過剰な体重増加の抑制
- 体力の維持
- 産後うつのリスク低下
などが挙げられています。
私自身、妊娠中は「動かない方がいい」と思っていました
第一子を妊娠していた頃の私は、
「赤ちゃんのために無理をしないように」
「できるだけ安静にしていた方が安心」
と考え、身体を動かすことにとても慎重になっていました。
もちろん、妊娠経過によっては安静や運動制限が必要な場合があります。
ただ、妊娠経過が順調で、医師から運動制限を受けていない場合まで、必要以上に活動量を落とす必要はありません。
当時の私は、今ほどそのことを知りませんでした。
分娩には時間がかかり、赤ちゃんも大きく、出産後は体力が大きく落ちた状態で育児が始まりました。
そして、その後に続いた気分の落ち込みや不安、心身のつらさ。
今振り返ると、
「妊娠中に、もう少し身体を動かしていたらどうだっただろう」
「出産だけでなく、その先の育児まで見据えて体力を保つという考え方を知っていたら」
と思うことがあります。
「運動していれば心の不調が起きなかった」とは言えません
ここは、とても大切なところです。
私は、
「妊娠中に運動していれば、産後の心の不調が起きなかった」
とは考えていません。
分娩時間や赤ちゃんの大きさ、産後のメンタルヘルスには、身体的・心理的・社会的なさまざまな要因が関係します。
運動だけで決まるものではありません。
一方で、近年の研究では、妊娠中の運動が妊娠中の抑うつや不安症状の軽減、産後のメンタルヘルスの改善と関連することが報告されています。
つまり、運動は「すべてを予防する方法」ではありませんが、妊娠中・産後の心と身体を支えるひとつの選択肢にはなります。
妊娠中の運動は「頑張って鍛えること」ではありません
「運動した方がいい」と聞くと、
「妊娠中にそんなに頑張れるかな?」
と思う方もいるかもしれません。
でも、妊娠中の運動は、必ずしもハードなトレーニングを意味しません。
例えば、
- ゆっくり歩く
- 呼吸を意識する
- 身体を気持ちよく伸ばす
- 股関節や背中を動かす
- 無理のない範囲で筋肉を使う
こうしたことも立派な身体活動です。
大切なのは、
「どれだけ頑張ったか」ではなく、「今の身体に合った方法で続けられるか」
です。
身体を動かす時間を「自分のための時間」に
妊娠すると、
「赤ちゃんのために」
と考える時間が増えていきます。
食事も、生活も、行動も。
いつの間にか、自分自身の身体や気持ちが後回しになってしまうこともあります。
だからこそ私は、妊娠中に身体を動かす時間を、
「自分の身体や呼吸に目を向ける時間」
にもしてほしいと思っています。
身体をゆっくり動かす。
呼吸を感じる。
「今日は少し身体が重いな」
「この動きは気持ちいいな」
と、自分自身の状態に気づく。
マタニティヨガには、そんな時間をつくる役割もあると思っています。
出産の先には、すぐに育児が始まります
妊娠中は、どうしても「出産」がゴールのように感じることがあります。
でも、出産の先にはすぐ、
抱っこ、授乳、おむつ替え、夜間のお世話……
赤ちゃんとの生活が始まります。
しかも、ママ自身の身体も出産から回復している途中です。
だからこそ妊娠中から、
出産に向けた身体づくりだけでなく、その先の育児まで見据えて体力を保つこと
も大切だと考えています。
私自身の経験があるからこそ、伝えたいこと
第一子のときの経験があるからこそ、今、妊婦さんに伝えたいことがあります。
それは、
「妊娠中だから動かない」ではなく、
「妊娠中だからこそ、自分の身体に合った方法で動く」という選択肢もある
ということです。
もちろん、体調が悪い日は休んでいい。
無理をする必要もありません。
でも、
「妊婦だから運動してはいけない」
と必要以上に身体を止めてしまう必要もありません。
妊娠中から、自分の身体を大切にする。
身体を動かし、自分の呼吸に目を向ける。
そんな小さな積み重ねが、出産、そしてその先の育児に向けた身体づくりにつながっていきます。
mozutto安積店のマタニティヨガ
mozutto安積店では、理学療法士・ヨガインストラクターのmihoが、妊娠中の身体の状態を確認しながらマタニティヨガを行っています。
大切にしているのは、ポーズをきれいにとることや、頑張って運動することではありません。
- 今の身体の状態を知る
- 呼吸に目を向ける
- 妊娠によって変化する身体を無理なく動かす
- 出産・産後に向けて体力を保つ
- 自分自身のための時間をつくる
そんな時間を一緒につくっていきます。
「運動した方がいいのは分かるけれど、何をすればいいか分からない」
「妊娠中に身体を動かすのが少し不安」
「出産や産後に向けて体力を保ちたい」
「妊娠中、自分自身のための時間もつくりたい」
そんな方も、まずは今の身体に合わせたところから始めてみませんか?
赤ちゃんのためにも、ママ自身の身体と心を大切に。
私自身の経験があるからこそ、そのことをこれから妊娠・出産を迎える方に伝えていきたいと思っています。
※妊娠中の運動は、妊娠経過や合併症などによって制限が必要な場合があります。出血、腹痛、規則的で痛みを伴う子宮収縮、破水を疑う症状などがある場合や、医師から運動制限を指示されている場合は、自己判断で運動を行わず、主治医へご相談ください。